舞妓さんちのまかないさん


●舞妓さんたちの日常のお話
舞台は京都。
歴史ある古き良き街並みを、きらびやかな着物に身を包み、
お客をもてなす舞妓さんたちのプライベートを描いた作品。

日々稽古に励む舞妓さんたちは、
芸妓さんを目指す見習いの間、一緒の家で生活をしています。
その「屋形(やかた)」と呼ばれる家で繰り広げられる、
舞妓さんと舞妓さんを取り巻く人たちの生活が瑞々しく描かれていきます。


●ざっくりあらすじ
主人公は中学卒業後、舞妓さんを目指し
親友のスミレとともに青森から京都に出てきた「キヨ」。
キヨはなんとものんびりした性格をしている。

稽古に身の入らず、踊りの先生には叱られ、
ついに屋形の「おかあさん」から
見習いの打ち切りを告げられてしまう。
そんな時、屋形のまかないのおばちゃんが
倒れてしまい、全員お弁当生活に。

皆、連日の弁当生活に耐えきれなくなってきたその時、
冷蔵庫にある材料でキヨが作ったのは、
なんてことのない普通の親子丼。


-『舞妓さんちのまかないさん』1巻より-

これがみんなの心と体に潤いを蘇らせる。
そこから舞妓見習いとしてではなく、
プロのまかないさんとしてのキヨの生活が始まった。


●みどころ1:舞妓さんたちの心とお腹を満たすごはんたち

「パンプディング」

-『舞妓さんちのまかないさん』1巻より-

プリンを食べられ、凹んでいた舞妓さんに
特別に作ってあげたもの。

親元を離れて暮らす舞妓さんたち。
故郷の家が恋しくなったり、
厳しい稽古に元気が出なかったりする
ときだってあります。

舞妓さんが住む屋形ならではのごはんたち。
紅が落ちないために一口サイズになっていたり、
お客様相手の仕事なので臭いの強いものはNGで、
お休みの人だけニンニク入りの餃子が許されたり。


●みどころ2:キヨの料理スキルが高い
「おばあちゃんみたいな子だ」
というのがキヨに対する最初の感想。
別に作る料理の創作性が凄まじいとか、
プロ顔負けの天才料理少女なんていうわけではないのに、
ひと昔前の日本の家庭ならどこでも出てきそうな感じの、
家庭料理が次々と出てくるのです。

その料理は実家でおばあちゃんに教わっていたもの。
自分のことは関しては
周りが心配になるくらいぽやっとしているのに、
こと料理のことになると、
お母さんやおばあちゃんのような
安心感と安定感を醸し出すキヨ。
大物である。


●みどころ3:少女たちのプロの顔 
ごはんだけでなく、舞妓さんたちのプロの姿が
とても魅力的に描かれています。
舞妓さんって年は15,16歳くらいの子達ですけど、立派なプロ。
キヨの親友、スミレこと「すーちゃん」は屋形で一番の期待のルーキー。

「しっかり気張らにゃうちがうちに腹立つねんもん」
見習いの時の彼女の一言。
プロとしての気概が感じられる言葉がとても眩しく感じる。
舞のお稽古をするすーちゃんの真剣な面差しや、
屋形にいる大勢の人数分の食事を手際良く黙々を準備して行く様子。
セリフはなくとも細部まで描かれたリアルな背景や
画面から伝わってくる緊張感が秀逸です。


この舞妓さん達の機微をどうやって描いているのだろうと
京都の舞妓さんたちの生活にとても興味が湧いて色々調べてしまった。
『京の花』~京都を代表する5つの花街の魅力に触れてみましょう~

『京都の花街』という本が舞妓さんの店だしまでの様子も詳しく収録されていて必見
『京都の花街』光村推古書院

●こぼれ話
可愛らしい絵柄なのですが、なんと連載は「週刊少年サンデー」
意外なことに少年誌で、週刊誌。
どうりで単行本発売のサイクルが異様に早いと感じるわけでした。
どこまで続くかわかりませんが、サクサク続編が出るので
「あんまり続きを待つのは嫌だ」という人にはオススメ。