甘々と稲妻
●家族の成長物語
不器用な父親とおてんばな娘が、料理を学びながら
成長していく心温まるごはん物語。
●ざっくりあらすじ
高校数学教師の犬塚公平は、半年前に妻を亡くしてから
娘のつむぎ(5歳)と2人暮らし。
家事と育児に終われ、また公平自身が食に関心が薄いこともあり、
弁当ばかりの殺伐とした食生活を送っていた。
本来、明るく天真爛漫な性格のつむぎだが、
できあいだらけのごはんでも我慢をしていることに
公平は気づき、打ちのめされる。
母親が作っていたような「あたたかいごはん」を食べさせようと、
公平は途方に暮れていたとき、教え子の実家である料理屋「恵(めぐみ)」を知る。
藁にもすがる思いで「ごはんを食べさせてほしい」と懇願。
話あった末、その教え子の飯田小鳥と、
一緒に料理を作る料理会を開き、ごはんを食べる
というお話です。
●みどころ1:ごはんと親子のあたたかさ
初めて犬塚親子が「恵」を訪れたとき、
小鳥が2人に炊いてくれたのは「白飯」。
本当にお米を土鍋で炊いただけだけど、
レンジで温めたお米ではない、ふっくら炊きたて
ホカホカの白米を口にした時のつむぎの顔というと。
-『甘々と稲妻』1巻より-
そして、それを見た公平の顔。
親が子を思う気持ちがジワリを伝わってくる。
この話に影響を受けて、土鍋ごはんに挑戦してみた。
調べてみると、最近は高性能で高価な炊飯器がたくさん販売されてるけど、
土鍋は炊飯器より早く炊けて、うまくできればふっくら美味しい。
つむぎのようにふっくらごはんに
言葉もなく感動してしまった(5歳児といっしょだなぁ)
【2019年版】ご飯鍋のおすすめ19選 - SAKIDORI
美味しいごはんの炊き方 -クックパッド
●みどころ2:ゆっくり子ども目線
包丁の使い方もままならない公平が、
レシピを教わりながら、
ゆっくりと丁寧に一つ一つの料理を作っていく。
豚汁は出汁を昆布とかつおからとるところから始め、
沸騰させないように慎重に味噌をとく。
そんな当たり前で普通の工程が、
料理が初めての目線で新鮮に描かれ、
つむぎの子ども目線ではなんでも
全てがめずらしく映る。
白ごはんだけだったり、
ハンバーグが焦げてしまったり、
いつも成功というわけではないところも、
愛しさを感じてしまう。
公平が料理会で覚えたレシピを失敗をしながらも少しずつ、
つむぎのために家で実践し、
成長していく様子はとても微笑ましいです。
●みどころ3:もう1組の親子
この作品にはもう1人組の親子が登場する。
料理屋「恵」の娘である飯田小鳥とその母親。
売れっ子料理家出ある小鳥の母は、
忙しくてもいつも娘のごはんは作るし、
小鳥も母親のことは好きで、
親子の仲は深い確執があるというわけではない。
けれど、何より食べることの好きな小鳥が、
お母さんと一緒にごはんを食べれないという辛さは
つむぎと一緒で、見ているこっちの
胸が痛くなってくるんだなぁ。
でもだんだん犬塚親子と料理会をするようになり、
小鳥は自分の壁や、親に対して
向き合って成長していく。
●自分の成長(?)も感じた
最近読んでて響いた漫画を思い返す
「あぁ、こういう心温まる系の漫画が染みるような歳に
なってきたんだなぁ」と思ってしまった。