ごはんのおとも
●ごはん漫画との出会い
私が初めて出会ったごはん系漫画です。きっかけはなんてことはなく、
グルメ好きな友人から勧められたというありふれたものですが、
それぞれの登場人物とともに出てくる温かいごはんの話に、
こんなにじんわり心に沁みる話があるんだなぁと感動しました
●ざっくりあらすじ
裏路地にある料理屋「ひとくちや」。
そこに集まる人たち順々にスポットが当たっていく群像劇。
じわりと心に染み込む一話ごとのストーリー。
話ごとにメインパーソンが移っていき、一つのごはんが登場していき、
人間関係が繋がっていく、そんなお話。
●みどころ1:ごはんや「ひとくちや」が粋。
「ひとくちや」は寡黙だけど、いつも笑顔の大将がいて、
訪れる人たちは好き好きに注文をするけれど、
「あれある?」と聞いたら大抵「あるよ」と答える。
なんでも出てくるすごいお店。
-『ごはんのおとも』1巻より-
気遣いの達人で、
●みどころ2:フルカラーのイラスト
この漫画の楽しみは
何と言ってもA5版の大判フルカラーであること。
一話ごとにメインの料理があって、
話の末尾ページに美味しそうなイラストとともに
レシピも描かれています。
「ちょっと作ってみようか」と思わせる
手軽そうな1pレシピ。(実際手軽なんだけど笑)
-『ごはんのおとも』1巻より-
この作家さんの魅力はこのごはんのイラストだと思う。
どれも特別な食べ物じゃないのに、
見慣れたものなのに、
その美味しさをイラストで再発見させられる、
そんな良さがあるなぁと思います。
他にも作品があって、絵本も出しているみたいです。
出典:『おじいちゃんとパン』たな/パイインターナショナル
美味しそう、これはぜひ見てみたい。
●みどころ3:じわじわと扉絵だけで進んでいた2人のメイン回
2巻で1話ごとに末尾ページに差し込まれている、
一組の幼馴染の女の子と男の子の成長の一コマ。
この2人がメインとなる話がとても良い。
(メインとは違うところで駒が進んで行っている感じがありつつも、
見え隠れするストーリーが、カバー裏の裏話を読むようで
ワクワクするというか、
気になってしまうというか)
幼稚園、小学校、中学校と、
いつも2人の間にはいつも同じ距離があった。
いつも笑顔でごはんを食べていた「さち」と、
その様子をいつも無意識にみていた幼馴染の「だい」。
しかし高校生になった「さち」はごはんを食べても
昔のような笑顔を見せなくなっていた。
心配した「だい」は、
祖父が亡くなったことが原因で、
おじいちゃんこだった「さち」が落ち込んでいることを知った。
さちの祖父が生前「さちが二十歳になったら開ける」と
内緒で梅酒を作り、「ひとくちや」に預けていた。
「だい」は祖父の存在を感じるものであるその梅酒を見せる。
すると瓶に書かれた祖父の字をみた「さち」の顔には
「おじいちゃんの字だあ」と、涙とともに笑顔が戻った。
無表情な「だい」にも笑顔がこぼれる。
読み終えてじんわりと心あたたまるお話。
●ごはんで人と人がつながっている
こどもからおとなまでいろんな世代の人が登場する。
ごはんのおとも は「笑顔」なんだね。
っていう素敵な漫画です。