まどろみバーメイド


●グルメ漫画ではないけど
「グルメ漫画」というくくりから外れてしまうのかどうなのか、
僕もわかりませんが、「お酒」のマンガです。
気鋭イラストレーター・早川パオの初コミックス。
ちょっと気になっていたイラストレーターさんだったので
お酒はあまり飲まないのに、つい読んでしまいました。
絵が文句なくキレイで好きな漫画です。


●ざっくりあらすじ
月夜に現れては消える気まぐれな屋台を営む女性バーテンダー・雪(ユキ)。
そんな風変わりな彼女の作るカクテルは誰かの心に忘れられない味を残す。

「バーメイド」というタイトルを最初見たときは、
何だかいかがわしいタイトルだと思ったのですが、
女性のバーテンダーのことを「バーメイド」と呼ぶそうです。
普段はおっとりしていて、夜起きているのが苦手な雪は
ゆらゆらと眠気まなこでバーに立つが、
一度お酒を作り出すと真剣そのもの。
バーを訪れる様々なお客様に、型にはまらない発想と確かな技術で、
心を打つお酒をつくり提供していくという話。


●みどころ1:登場人物が魅力的
実は筆者はお酒はほとんど飲まず、
お酒の味の違いなどを実感することができないのですが、
お酒が飲めなくてもおもしろい作品だと思います。

おもしろさの1つは登場人物が魅力的なこと。
主人公の雪をはじめとする3人のバーメイドが登場します。


-『まどろみバーメイド』1巻より-

雪は2人の女性とハウスシェア(居候)をして暮らしてる。
1人は雪と同じハウスの居候で、フレアバーテンバーの日代子。
もう一人はハウスの家主で、一流ホテルのバーに勤め、
雪をバーテンダーになることを勧めた輝帆(キホ)。


-『まどろみバーメイド』1巻より-

3人ともタイプは違うけどとても可愛い。
それだけでもみる価値があるというもの(おい)


●みどころ2:女性版「バーテンダー」
城アラキ原作の「バーテンダー」という漫画あるが、それの女性版というのが第一印象。

主人公は佐々倉というバーテンダーで、
その男が作るカクテルは「神のグラス」とまで呼ばれるほどの腕の持ち主。
「バーテンダー」は佐々倉を取りまく人たちのエピソードが描かれていく作品で、
毎回作るカクテルの由来やそのストーリーを語るのがメイン。
その佐々倉の締めが毎回カッコよくシビれる。
詳しくはこちらから↓

『バーテンダー』 -マンガペディア-

構成という点において「まどろみバーメイド」と印象が重なるなぁと。
お酒の専門的な話が小難しくなく、けれど丁寧に描かれていて
飲めなくても「は〜なるほど」と思わせられる。
ただ違うのは格式張った伝統的なお酒のエピソードよりも
人に焦点を当てた創作カクテルのエピソードが多いこと。
飲めないとはいえ、お酒の場に全く行かないというわけでもないので、
リアルのバーテンダーたちもこんな感じなんだろうかと想像が膨らんでおもしろい。


●みどころ3:かわいいだけじゃない
その人の境遇や生い立ちを感性で感じ取り、
その人のためのお酒を作る。
「舞妓さんちのまかないさん」も同じ感じですが
そういうプロの姿勢が描かれているのが僕は好きです。

プライベートでは普通の女の子の顔で
だらしなかったり、惚れっぽかったり。

しかし、バーに立つとストイックなプロの顔に変わる。
このギャップにやられる読者は多いんじゃないかと思う。

現在5巻までが販売されていますが、豚が家族になったり
雪がバーテンダーになるに至ったエピソードがあったり、
香港のライバルができたりと、色々話が広がってきていますが、
雪以外の2人の話がまだあまり深掘りされてないので、
これから突っ込まれていくんじゃないかなと思ってます。


3人が織りなす三者三様のバーテンダー模様が
これからもっと展開されていくのが楽しみだ。